其の一

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「……いやいや、何を安心してるんだ私は」 そして約束の場所、件の滝壺に来て、ようやく私は思い至る。世話役だからこそ、世話をされる方からすれば恋愛の対象に成りうることに。 「……早急に決着を着ける必要がありそうだね……」 そんな誰に言ったでも無い呟きに、「なんの話ですか?」なんてレスポンスを付けるのは、私の耳に良く馴染んだ、心地好い声。 「いや、こっちの話だよあ………や………」 文の方を振り向いた瞬間、私の思考が停止した。きっとメイド長の仕業に違いない。私を馬鹿にしやがって。……と、そうではなく、私の目線は文の背後、チラチラと見える茶髪のツインテールに吸い寄せられた。 ……まさか、本当に彼女の紹介……とか……? 「……………………………………………………………」 「ひっ……あやぁ、この人恐い……」 「ちょ、にとり、顔恐いですって。はたては対人(?)恐怖症なんですから、もう少し穏やかに、ね?」 文に言われてはしょうがないので、ツインテール鴉天狗にガン飛ばすのはやめておく事にする。 「……で、その娘を連れてきて何のよう?」 「いやぁ、あはは……すごい寒いこと言いますけど、良いですか?」 ポリポリ、と顔を掻く文に、半ば諦めを伴って先を促す。 「……私の友達に、私の最高の親友を紹介したかったんですよ……」 「………~~~っ!!!?」 恥ずかしっ!勘違いしてた自分もだけど、そんなことを素面で言える文も恥ずかしっ! 何となく文に責任転化したけど、うん、凄い安心感と恥ずかしさが一気にきたせいで、多分今私の顔は真っ赤だろう。
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