其の一

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―――――――― 「……はたて、貴女ねぇ」 にとりが居なくなったのを確認し、私ははたてに向き直る。 その活発な見た目に反し、外に出たことが無い……いや無かった彼女は、異様なまでにネガティブで、他人に嫌われることを極端に恐れる。 だから、にとりに睨みつけられたとき、反射的に嫌われた、とでも思い、黙っていたのかもしれない――そう思っていたのだが、はたての反応は私の予想を裏切った。 彼女は顔を赤らめて、モジモジと両の人差し指を合わせていた。よく外の漫画で見るあの照れの反応だ。……いやいやいやいやいや。 「え、えーと、はたてさん……?」 「……文」 バッ、と顔を上げた彼女の瞳からは、そう――何か、一つのものに夢中になった、そんな光を宿していた。 「にとりって……可愛いね」 ああ、なんという。 思わず、私はその場で倒れそうになってしまった。
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