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「……はたて、貴女ねぇ」
にとりが居なくなったのを確認し、私ははたてに向き直る。
その活発な見た目に反し、外に出たことが無い……いや無かった彼女は、異様なまでにネガティブで、他人に嫌われることを極端に恐れる。
だから、にとりに睨みつけられたとき、反射的に嫌われた、とでも思い、黙っていたのかもしれない――そう思っていたのだが、はたての反応は私の予想を裏切った。
彼女は顔を赤らめて、モジモジと両の人差し指を合わせていた。よく外の漫画で見るあの照れの反応だ。……いやいやいやいやいや。
「え、えーと、はたてさん……?」
「……文」
バッ、と顔を上げた彼女の瞳からは、そう――何か、一つのものに夢中になった、そんな光を宿していた。
「にとりって……可愛いね」
ああ、なんという。
思わず、私はその場で倒れそうになってしまった。
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