思い出

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よく見ると、満開に咲き誇る、紫陽花と蛇の目の傘をさした、おばあさんが立っている 「あら、貴女? この空き缶、蹴飛ばしたの?」 おばあさんは、にこやかに微笑みながら聞いてくる 「すみません、ちょっとイライラしてて わざとじゃないんです」 ペこりと、頭を下げて謝る 「いいのよ、ただ、おてんばなのはいいけど、大概にね」 近くにあった、ごみ箱に空き缶を捨てながら、おばあさんは言った 「はい」 「貴女、イライラしてることがあるって言ってたけど おばさんに話してみたら」 「え……」 「一人で、紫陽花でも見ようと思ったけど、退屈だったの 空き缶をぶつけたお詫びってことで」 おばあさんは、にこやか笑いながら話すように催促してくる
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