思い出

7/9
前へ
/9ページ
次へ
「おばさんね、ずっと、この紫陽花を見てきたの」 おばあさんは、どこか淋しそうに語る 「おばあさんの子供の頃には、もう、この公園と紫陽花はあった」 「歴史があるんですね」 「そうね、だけど、もう、この紫陽花は枯れるのよ」 「…………」 私は、何も言えなかった 枯れる? 満開に咲く、紫陽花が 「この紫陽花も、もう、年寄りな紫陽花、枯れる運命なのよ」 「どうにかならないんですか」 おばあさんは、この紫陽花が好きなんだろう だからこそ、淋しそうに言ったんだ
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加