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店に着き、店内を見渡す。
カウンターの一番奥にそいつはいた。
「遅ぇよ」
いや、メールからまだ30分も経ってないはずだけど。
もう、何杯目かのグラスが半分まで減っている。腹に何も入れずに?
隣に座り、ジントニックと生ハムのピザをオーダーする。
「結構飲んでます? 先生」
「いや、まだ3杯目かな。」
いちいちグラスで頼むのも面倒だなとボトルワインを頼む。
ガーリックとアンチョビの効いたドレッシングが自慢の野菜スティックを先生の前に出してもらう。
「セロリもニンジンも、ついでにこのやたら長いブロッコリも苦手なんだけど。」
「じゃあ先生食べる物ないじゃないですか」
「いいよ、こっち食うから」
ちょうど店員が持ってきたピザを皿ごと奪い、一切れ頬張る。
「ああ、先生言うのなしね」
「じゃ、海野さん?」
「さん付けもやだな。多分俺の方が年下」
「海野君」
「学校の先生かよ」
「じゃあ何て呼ぶんだ」
「洋平。それでいいや。陸斗」
陸斗、と呼ばれて何故かドキッとした。呼ばれ慣れてない。昔付き合ってた彼女も佐野くんと呼んでたから。
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