プロローグ

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「矢島さん、いる?」 処置室の窓口から顔を覗かせる人がいた。キレイな横顔。 「ちょっとだけ待って」 処置室の奥、検査室になってるところから声がする。矢島と呼ばれた検査技師の声だ。 器械のスタートする音がして、矢島が顔を出す。 「先生、何悲壮な声出してんの?」 「採血手伝って!お願い、僕だけじゃ無理!!」 「しょうがないな~」 やれやれといった感じでその医師のあとを技師がついていく。 処置室と廊下を挟んだ向かいが小児科になっている。そこの医師なのだ。 「で、海野先生患者は?」 「うん、4歳の男の子なんだけどね、矢島さんご指名」 ふんわりとした笑顔を見せる海野医師の顔を眺めてしまう。 この病院で唯一(!?)の独身医師。かの春めでたく研修期間が終わったばかりの26歳。病院のアイドルなんだとか。 まぁ、あの笑顔は反則的だよな。  
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