1536人が本棚に入れています
本棚に追加
/969ページ
暗闇の中。
誰かのいびきが響いている。
わたしは、目を閉じ、今日起きたことを思い出していた。
―――しかし、怖ろしかったな。
金をよこせと叫ぶ、叔父叔母。
人って、あんな風になってしまうんだ。
あの形相を思い出す。
顔を真っ赤にして、怒号を発していた。
―――お金が無くても、あんな風に落ちぶれたくないな。
くるっと横になり、眠っている康君の顔を見る。
―――わたしよりも、康君の方が、ずっとずっと、ショックだったろうな。
幼い頃から信頼してきた叔父叔母にあんな態度取られて。
上を向き、すーすーと眠っている彼。
布団から、そっと手を伸ばし、彼の手を握る。
―――わたしは、あんな風に、貴方を裏切ったりしないからね。
ごつごつしたその手をぎゅっと握り、瞼を閉じた。
最初のコメントを投稿しよう!