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「そう言えばさ。」
旅館を出て、少し走ったところで、運転している康君に話しかける。
「ん?どうした?」
「昨日、わん達の散歩行った後、本田さんとラウンジで会ったんだ。」
百瀬さん達がいるところでは、なんとなく言いづらかった。
叔父叔母達のことを、一癖も二癖もあると言ってた本田さん。
―――叔父叔母達っていうのは、もしかしたら、多恵さん夫婦も含まれているのかもしれない。
わたしの言い方次第で、あの場の空気を気まずいものにするかもしれないから、あの時、言う事は避けたのだ。
「―――本田さんって、イマイチ、どんな人物なのか分からないけれど。
叔父叔母達に気を付けろって言ってたんだから、味方なのかな?」
公恵さんと好恵さんに対して猜疑心を抱いていることを告白してきた彼。
わたし達の味方って思っていいのだろうか?
信号が赤に変わり、前方に向けていた視線をわたしに向ける。
「いや。」
一言。そして、続ける。
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