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希望は捨てちゃいけない。キュウリのウリに毎日のように言われ続けた言葉。
空の向こうにあの星があるのかな?本当にあるのかな?
知りたい。もっといろんな事を知りたい。
だから――だから人間になりたい。
信じてればきっと――希望を捨てずに。
クロが巣に帰って行くのを見届けて、僕は口を開いた。
「ダン。聞いてたんだろ?」
「・・・・・・なあんだ。ばれてたのか」
「ここまで付き合いが長いと、ダンの寝たふりなんてすぐわかるよ」
「そっか。それにしても、ここの夜空の星は数えきれないな」
ダンが空を見上げる。
「うん。綺麗。本当に。もっと知りたい。いろんな事を。だから――」
「人間になりたい・・・・・・か」
「うん」
ダンは一言呟いて、本当に寝た。
「なれるさ」
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