序章

3/6
前へ
/14ページ
次へ
『保存完了』 一体何を保存したんだってんだ? 画像のフォルダを開いてみるとサムネイルの最新ヶ所にある画像が映し出された。ソレを拡大する。 『なんだ…こりゃあ?』 俺が見たもの。ソレは画像なのに生きているように動いている。 一目見てこの世のものではない。 人の形はしているが、目は赤く、肌は黒く、王様を思わせる立派な王冠を頭に乗せている。顔つきもどこか紳士である。 黒いマントを羽織り、右手には鋭利な槍を持っている。 「お前か。私の主は。間抜けな顔をしているな。」 …。へ?喋った!? 俺は突然のことに驚き、咄嗟にベッドから上体を起こした。 『な、何だってんだ!?』 状況が理解出来ない。ケータイに写っている画像が喋る訳がない。動いているだけならまだしも。 「お前は私。私はお前。名前を言え。それで私とお前は契約を結ぶ。」 また喋った…。頭は混乱していく…。 『何で俺が先に名乗らなきゃならない?あんたが先に名乗るのが筋ってもんだろ?』 俺は内心ビクビクしながらもナメられてはマズいと強気に出ることにした。 「ふふっ。なかなか面白い奴だな。今までそこまで私に口答えする奴は初めてだ。気に入った。」 取り敢えず気に入られたのか?強気で言ってみるもんだな。 「いいだろう。私はロキ。阿呆でも名前くらい聞いたことがあるだろう。兄にオーディンを持つ。」 ロキ…。あの北欧神話に出てくる奴か? ってか神様かい!?スケールがデカ過ぎるだろ。 『あぁ。名前くらいは知ってる。でも何で神であるあんたが俺と契約しなくちゃならない?俺は只の一般的な高校生だぜ?』 俺は更に強気に出る。それはロキが俺に対して敵意を持っていないことが感じられるからだ。 「理由等後で話そう。お前は選ばれたのだ。もう戦禍は始まっている。」 戦禍って戦のことか?一体コイツは何を言ってるんだか…。 「さぁ…名前を言え。」
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加