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俺はその後も名前を伏せ、ロキに理由を話させようとするが、次第にイライラした様子になるだけで話は平行線を辿っていった。
これ以上神を怒らせると何をされるか分からないので覚悟を決め、名前を言うことにした。
『分かったよ…。俺の名前は神谷 洋介(カミヤ ヨウスケ)だ。』
「承知した。」
そう言った瞬間、ケータイの中からロキが飛び出してきた!!
『うおお!?』
気が付くと俺の目の前には2メートルを越すロキが立っていた。不思議と心地好い気がする。
神故にか?
「ここが日本か。私がいた時代、場所とは全てが違う。」
そう言いながら俺の部屋を物色するようにキョロキョロしている。
実際に聴く声は低く、太いが威圧感のようなものは感じられない。もっと高貴な声だ。
『あんまりジロジロ見るなよ。汚いから。んで?俺と契約したんだろ?何でさ。』
俺が聞きたかったこと。
何であんなメールが送られてきたか。何で俺に?ユキとは何者?戦禍って何だ?
事態が急過ぎて聞きたいことは山ほどあった。
ロキは俺を見下ろす形で静かに語り始めた。
「洋介、お前も知っているだろう。日本の八百万の神を。イザナギ、イザナミが産んだ神だ。」
俺は名前だけは知っているがそれ以上の事は深くは知らない。知る必要がないからな。
「今まで強力な日本の神を抑えるため、全世界の神が結界を張り巡らしていたのだ。しかし、今その結界が何者かに解かれ、八百万の神たちが暴走を始めている。」
「既にトール、オーディンは打たれてしまった。他の神たちも苦戦を強いられている。そこで我等が指導者のユキが立ち上がり、全世界の神の末裔である人間に神を送り込み、この戦いに終止符を打とうとしている。」
『ちょ!!待てよ!!俺が神の末裔なんて聞いたこともないぞ!!いやいや、聞いたことなんてある訳ないか。ってか生粋の日本人だぞ、俺は!!そもそも何で神を送る必要がある!?』
訳が分からない。
俺はパジャマ姿でロキに詰め寄る。
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