序章

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「この時代、その地域の純粋な人間がいると思うか?人間は交配を繰り返し、繁栄してきた。サルと同じだ。」 大きなお世話だ。まぁ一理あるがな。 「もともと人間は動物から進化したものではなく、神から創造された者。したがってその血を受け継いでいる人間がいても不思議ではなかろう。」 確かに…。 『でも、そうだとしたら全人類が神の末裔じゃないのか?』 「そうだな。人間は交配を繰り返すことで現在では神の血は薄れてきている。しかし、洋介のように血が濃い者もいる。その理由として、洋介、お前はこの世のものではないものも見えるだろう?」 この世のものではないもの…。 幽霊か?確かに俺は物覚えついた頃から霊感がある。 昔から見えちゃうもんだから家族や友人に言うとビビられたもんだ。 今でもハッキリ見えるが、それを言うと気持ち悪がられるので霊感がある事は隠している。 まさか神の血が原因だったなんて考えもしなかった…。 「話を戻そう。結界を解かれた今、神同士の戦が始まっている。ユキは何者かに囚われてしまった。この戦に勝つためにはユキの奪還なくしてあり得ない。まとめる者がいないからな。」 「そもそも神は統率力がない。私を含めて。一人一人の力が強すぎて自分だけでは抑えることが出来ぬのだ。そこで人間の出番だ。」 厄介な出番が回ってきたもんだ。まぁ先祖の行いの尻拭いと思えば仕方がないか。 「人間と契約することで一心同体となり、力の制御が可能となる。制御が効かなくなると怒りによって同士打ちもあるのでな。」 全く…。神様ってやつはプライドだけは高いんだな…。 『んで?八百万の神は何をしようとしてるんだ?』 「奴等にとって結界を張られている自体が不満だった。そして、日本では領土が小さ過ぎて縄張りを広げようとしている、ということだろう。それによって均衡が崩れてきている。」 俺は日本人なのに、日本の神と敵対しなきゃいけないのか…。 別に愛国心がある訳ではないが、お参りもするし、神頼みもするしな。
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