371人が本棚に入れています
本棚に追加
/347ページ
あれからユウはミユキの先輩に会って、付き合えない事情を改めて話し、頭を下げた。
もちろん、それで全てが解決したとは思わない。ミユキの先輩が負った心の傷が癒えたとは思わない。ミユキの怒りが鎮火したとは、到底思えない。
(それでも、1つの区切りはついたはず……)
と思いたい。僕はこんな騒動を解決する手腕なんて、持ち合わせていないから……これ以上何かできるとは思えないから。
あの時、あの土手道。僕は1歩も動けなかった。何も言えなかった。
(恋愛ごとなんて、向いてないんだろうな)
仲介役が聞いて呆れる。結局、僕は何もできなかったのだ。
だから、これは僕の手に余る。そうでなくても、僕はいっぱいいっぱいだから。
「おお、そうだ湯川」
「はい?」
朝のHR終了後、ざわつく教室内で突然思い出したかのように担任の上原は言う。
「今日の放課後、生徒総会があるぞ」
「ええ!?」
「お前クラス委員だからな、1-Cの代表で出なきゃならんぞ?」
生徒総会。生徒会が主催する生徒による会議で、各クラスのクラス委員、各委員会委員長、生徒会役員が出席して年間行事や全校に向けての連絡などを話し合う場だ。
「そういえば、生徒総会は月1でありましたね」
「ああ。先月もあったんだぞ?」
「ええ!?」
さらっと何を言いやがりましたか、この人。先月も総会があったと!?
最初のコメントを投稿しよう!