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「まあまあ。すいません 。部屋が薄汚いのは改善していきたいと思います」
だから帰れ──という言葉は飲み込んだようだ。
「まぁ、こんなとこ何かが娘を見つけられるわけ無いですよね」
「だったら見つけてあげますよ!」
そう叫んだのは耀音だ。晃がキレるのを見物するつもりが、先にキレてしまったようだ。佳菜子はさっきまでの不機嫌な顔から急にニコッと笑いじゃあ、お願いしますよ。と娘のコピーの手を引いて事務所からでていった。
佳菜子が出ていった後も耀音はまだ怒っていた。冷静に考えればただの挑発にのせられただけなのだが、耀音は何がなんでも桃香を見つけようとする勢いで晃に
「絶対に見つけましょう! わかってますよね? 晃さん」
と脅した。晃は吸いかけだった煙草を灰皿に押し付け茶色のコートを羽織る。
「おし、行くか」
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