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「白崎探偵事務所」は昼に打ち水をしなくてもずいぶんと蒸し暑かった。結局何も収穫がなく、ただ腹が減った晃と耀音は部屋でカップ麺の冷たい蕎麦をすすっている。テレビからの野球の中継と蕎麦のすする音しか聞こえなかったところに急に耀音の声が響いた。
「あ、そう言えば昨日の夜すごく強い風が吹いたらしいですよ」
「それがどうした」
「いや、それがですね、人が1人ビルの屋上から吹き飛ばされちゃったんですよ。さらにおかしいのは今まで南西に吹いていた風が一旦北向きになって、その後また南西の向きに強い風が吹いたんです」
晃は眉をひそめた。耀音の説明がわかりにくいというのもあったが、頭の中で最近多発している不可解な事件とマッチしたからだ。新種の生物の仕業か、宇宙人の仕業か。地球滅亡説を立てた学者もいるという。
「やっぱりあれですかね、最近多くなってきている」
「不可解な事件だろ」
耀音も同じ事を考えていたようだ。晃は箸をおろし、よくドラマで見るような考え込む仕草をとった。
「昨日の昼にも1人死んだろ」
「警察が会見開いてましたね。相当むごたらしい殺人だって言ってました。……それが?」
「……もし榊原佳菜子の言っていた超能力が本当だとすると超能力者が事件を起こしている可能性が高いな」
「ちょ、超能力者がですか」
ああ、と晃は頷き電話を手に取った。
「とにかくもう一度榊原佳菜子に会わなきゃな」
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