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だが、解決は早いだろう。何せこの現場は高級マンションでセキュリティは万全。外の至るところに監視カメラが目を光らせている。今部下の中西瞬(なかにし・しゅん)に確認させているところだ。この死んでいる人物もこんなマンションに住んでいる人だ、お偉いさんだろう。というのが憲司の見解だ。
「課長」
「瞬か。どうだった」
瞬が慌ただしく部屋に入ってきた。まだ28歳だと言う瞬は長髪を後ろで1つに束ね、せっかくの長身を猫背で 台無しにしているのが特徴である。部署で一番背が低い憲司は羨ましい限りだ。
「それが……全て調べたんですが誰もこの部屋の近くへは近づいていませんでした」
「な、……本当に」
「本当にちゃんと調べました」
瞬は憲司の言葉を遮りはっきりと答えた。そうか、と憲司は窓へ歩く。
「窓も……なしか」
ここは12階。そんなところへ人目を忍んで登れるなんてどっかの蜘蛛男位だ。
「仕方ない。とりあえず聞き込みだ」
「わかりました、課長」
でも、ちょっといいですかと瞬が憲司に耳打ちしてきた。
「これ、最近増えてるって言う──」
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