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草木も眠る丑三つ時。あるビルの屋上で男が2人何やら話をしている。1人は背の高い若い男でもう1人は対照的にずんぐりとした不格好な中年で、端から見れば上司と部下の関係に見えなくもない男たちだ。
「過激派の西城が死んだらしい。遺体の様子から高藤の犯行で間違いない」
重々しく中年の男が話を始めた。若い男はぎょっとしたように目を見開くと
「西城が!? ……過激派の仲間割れなのか?」
と疑問を口にする。
「状況から見てそうだろうな。ただ、西城が居なくなった事は過激派にとって大きな打撃だろう。……あいつの能力は強かった。」
「予知能力だったからな。あいつのせいで何度計画が狂ったことか」
そう言った後若い男はハッとして顔を上げた。
「そうか! じゃあ今ならあいつらを止めることも」
「ああ。出来るだろうな」
中年の男は大きく息を吸った後こう付け足した。
「いや、出来ないな」
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