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「どういう事だ」
中年の男は若い男をキッと睨み付けた。と、その瞬間に若い男の胸に衝撃が走る。
「ぐ、衝撃波か」
若い男は瞬間的に悟った。あの男は過激派の人間なのだ。いくら焦っていたからといってきちんと調べもせずに男を雇った事を後悔した。こちらの情報はもうあちらに筒抜けだろう。痛がる体を無理に動かして中年の男との間合いをとる。
「なぁ晴輝。お前は何で人間との共存を望む?」
中年の男は余裕な表情で桐野晴輝(きりの・はるき)という名の若い男を見つめる。晴輝は胸を押さえながら絞り出すように声を出した。
「人間らしい生活を普通にしたい。そう思っただけだ」
中年の男は顔を歪めて叫んだ。
「そんなものは理想に過ぎない!年々能力者は増加して来ているのはお前も知っているだろう。そいつらだって力を使って人々の上に立ちたいと思うはずだ。俺たちのようにな」
「それがなんだ。そう思う奴がいたら排除するだけだ」
チッと舌打ちするのが聞こえた。
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