難解な依頼は始まりに過ぎない

2/6
前へ
/12ページ
次へ
1 「娘さんを探してほしい、と」 薄暗い路地にたっているビルの、一室にある「白崎探偵事務所」に白崎晃(しらさき・あきら)の声が響く。低くしわがれたその声は38歳だとは考えられないほど──じじくさい。 事務所がある場所が悪いのか、そもそも探偵に需要が無いのか、はたまた他に理由があるのか。ほとんど客など来ない白崎探偵事務所に久しぶりの依頼は、榊原佳菜子(さかきばら・かなこ)が言った「超能力者になってしまった娘を探しだして貰いたい」という意味不明なものだった。 でも、と晃の助手の神永耀音(かみなが・あきね)ははじめから思っていた疑問を口にする。 「娘さんいるじゃないですか」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加