19人が本棚に入れています
本棚に追加
「行くのか?」
「いや、違うよ。……それで、えっと、君は確か同じクラスの鳴海だったよね」
なんだ。ちゃんと俺の事知ってたのか。男子に興味がなさ過ぎてクラスに俺がいる事すら知らないんじゃないかと思ってたぜ。
「そうだよ。同じクラスの有栖川」
俺がそう言うと、有栖川はクスっと微笑を浮かべた。ホント、嫌味なくらいイケメンだった。
「実はさ、僕って学校に男子の友達がいないんだよね」
「なんだ、やっぱりいないのか」
実際有栖川が男子と喋ってるのって全然見ないからな。
「皆お前は女子としか喋らないやつだって言ってるぞ」
「それは君らが勝手に言ってるだけだろう? 僕だって男子の友達が欲しいんだ。それで、物は相談なんだけど……」
有栖川は少しだけ逡巡し、一大決心するかのような表情で、
「僕と……その、友達になってくれないか……?」
「……へ?」
友達? あの有栖川が?
俺は驚きすぎて多分口がポカーンって開いていた。だって、あの有栖川がだぜ? 男子の俺に対してそんなこと言うとか考えられないだろ普通。
だが、目の前の有栖川は真剣だった。冗談を言っているようには思えない。なら俺もちゃんと応えないといけない。
「ダメ、かな?」
俺が何も言わないからか、有栖川の顔が凄く不安そうで、俺はちょっぴり申し訳なくなった。
いや、それにしても有栖川がねぇ。意外過ぎて最初は戸惑ったが、こいつも男子だし、そりゃ男子の友達も欲しいよな。
てなわけで、俺は少しだけ笑いながら、
「友達、ね。いいよ。俺もあまり友達いないし」
自分で言って悲しくなったが俺の友達が少ないのはまぎれもない事実だ。
最初のコメントを投稿しよう!