Prologue

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「俺とやろうってのか? 止めておけ、勝敗は既に見えている」 そう、普通にやったら俺が負けるに決まっている。だが、俺の目つきの悪さは殺人級だ。いつも不良だと間違われる。だから女の子も全然話しかけてくれない。色々残念なこのフェイスだが、こういう時には役に立つだろう。こんな顔したやつにこんなこと言われたらビビらずにはいられないはずだ。いくら相手が本物の不良でもな。多分。 なんて、俺の楽観的かつ甘い考えはやつの右ストレートによって粉々に打ち砕かれた。あまりにも見事なパンチだったから、いてえとわめく前に、一緒に世界を目指そうぜ、と言いそうになってしまった。かすったのは俺の右頬だ。とっさに避けたから、直撃はしなかったが、それでも痛い。かすっただけでこの威力、こいつタダ者じゃない……! 「確かに勝敗は見えてそうだな。もちろん、お前の負けだ!」 さすがはモノホンの不良さんだぜ。俺の凶悪な目つきでもちっともビビらねえ。てか、顔的には寺崎の方が怖いし当然か。俺はただ目つきが悪いってだけだからな。顔全体はそんなに恐ろしくない……と思いたい。 「ま、待て! 話せばわかる!」 どこの小物のセリフだよと、自分で自分に突っ込みながら寺崎の殴る蹴るの猛攻から逃げる。避けるじゃなくて逃げるだ。もう全力疾走。敵に背中を見せまくってガン逃げだ。てか、いつまで追っかけて来るんだよ。こうなったら必殺ブランコアタックしかねえ! 「てい!」 すれ違いざまにブランコを掴んで思いっきりぶん投げた。フハハハ、ざまあみやがれ! このブランコアタックを受けて立ちあがったやつはいねえんだ! まあ当たらなきゃ意味ないんだけどな! 「くっそ!」 なんで避けてんだよクソが空気読めよ! てかブランコって投げても鎖で繋がってるから戻ってくるじゃん! 俺のアホ!
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