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こうなったら滑り台に上って時間稼ぎするしかない!
「よっしゃあああああ!」
滑り台を逆から駆け上り、てっぺんまで辿り着いた。寺崎も俺と同じようにして滑り台を駆けあがって来たが、そうはさせるか!
「らぁ!」
上から寺崎の頭をふんずけるようにして蹴った。が、手でガードされた。
やばいと感じ取った俺は、すぐに滑り台から飛び降りた。子どもの遊具だ。高さはそんなにない。2メートルくらいだ。
華麗な着地を決めた俺は、再び逃げの態勢を整えた。しかし、そろそろ体力がやばい。中学時代スポーツをしていたとはいえ、あれからもう2年以上経っているのだ。あの頃のように身体が動くはずもない。
寺崎はあまり足は速くないようだ。これなら公園からとんずらしても逃げ切れそうだな……って、最初からそうしとくべきだった! つい有栖川のことが気になってずっと公園内を逃げていたけど、よくよく考えたらあいつを助ける義理もないじゃないか。
でも、何故だか本当の逃げには走りたくなかった。別に有栖川を助けたかったわけじゃない。ただ、こんな頭の悪そうな不良どもに屈したくなかった。まあ、単に俺の我がままだ。逃げてりゃよかった。多分後で後悔するだろう。でも、ま、いいか。
後でマイリトルシスターにぶっ殺されることは重々承知の上、俺は足を止めて寺崎と対峙した。
「さあて、鬼ごっこは終わりだぜ」
俺は、無駄に芝居がかった声を出して、寺崎を脅かそうとした。結果、無駄だったが。
「いつまでも逃げやがって。ぶっ殺してやる!」
怒っているのか、鼻息を荒くしながら寺崎は拳を振り上げながら突進してきた。
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