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「君はなんでこんなところに?」
「俺か? 俺はそうだな……」
なんて応えたものだろうか。みーちゃんに会いに来ただなんて言いにくいしなぁ。
考えていると、今まで隠れていたのかみーちゃんがどこからともなく現れて、とことこと俺の元にまでやって来た。つい反射的にみーちゃんを抱き上げしまって俺は、しまった、という顔になってしまった。
「なるほどね。猫に会いに来てたんだ」
「う……。ま、まあ、そうなんだけどさ」
なんでか凄く恥ずかしい。やってることは小学生みたいなことだし、有栖川もきっと俺の事をガキだなって思ってるだろう。
「クラスではあまり目立つ方じゃないのに、大男を倒したり、猫に懐かれてたり、実は結構キャラ濃かったんだね。正直以外だったな」
「お前だってそうだろ。てか、なんでそんなに強いんだよ」
「それは……あれだよ。やっぱ喧嘩とか強い方が女の子にモテるかなって思って練習したんだ」
「それはまたすごい理由だな。つか、そんなに女子にモテたいのかよ。お前、顔はかなり美形なんだし、そんなことしなくてもモテるだろ」
男の俺でもやばいと思うくらい有栖川の顔は綺麗だ。女子たちからは黄色い声でイケメン王子と呼ばれ、男子達からは嫌味でイケメン王子と呼ばれる。それくらい有栖川の顔は整っている。整形してんじゃねってくらい整っている。
「女の子を喜ばせるのが僕の使命だからね」
平然とそんなことを言ってのける有栖川は、当然のごとく男子から嫌われる。クラスでも、有栖川と仲良くしている男子なんかいない。男子からしたらキザで嫌味なイケメンってとこだろう。男子は誰も近寄らないし、有栖川も近づけない。
「……お前は相変わらずだな」
「そうかな?」
有栖川はふふっと笑いながら、俺の腕の中にいるみーちゃんに視線を移した。もしかしたら有栖川も猫が好きなのかもしれない。
俺はみーちゃんを撫でながら、ポケットから小魚の入った袋を取り出した。きっとお腹を空かせているだろうし、早いとこ食べさせてやらないとな。有栖川も猫が好きだってんなら、後で触らせてやるか。
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