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一度みーちゃんを地面に下ろして、手に小魚をのせた。しゃがんだ態勢のまま、みーちゃんにエサをやる。そんな俺の姿を有栖川はバカにするでもなく、微笑ましそうな顔で見てきた。
「お前も触るか?」
「え、いいのかい?」
「ああ。てか、別に俺の飼ってる猫じゃないしな」
俺はそう言って、みーちゃんを有栖川に抱かせた。すると、有栖川は女の子のように顔を綻ばせた。なんだか、本当の女の子のように思えて、俺は咄嗟に目をそらしてしまった。
「ん? どうしたんだい?」
「な、なんでもねえよ……」
「そう。ならいいんだけどね」
それからしばらく有栖川とみーちゃんのじゃれあいを眺めていた。みーちゃんも嫌がる様子はないので、まあ、そのままにしておいてやるか。
ちらりと寺崎の方を見ると、やつはまだ気絶していた。そんなに効いたのか、俺のガゼルパンチは。
「さてと……」
有栖川はみーちゃんを地面に下ろして、立ち上がった。
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