Prologue

9/11
前へ
/27ページ
次へ
一度みーちゃんを地面に下ろして、手に小魚をのせた。しゃがんだ態勢のまま、みーちゃんにエサをやる。そんな俺の姿を有栖川はバカにするでもなく、微笑ましそうな顔で見てきた。 「お前も触るか?」 「え、いいのかい?」 「ああ。てか、別に俺の飼ってる猫じゃないしな」 俺はそう言って、みーちゃんを有栖川に抱かせた。すると、有栖川は女の子のように顔を綻ばせた。なんだか、本当の女の子のように思えて、俺は咄嗟に目をそらしてしまった。 「ん? どうしたんだい?」 「な、なんでもねえよ……」 「そう。ならいいんだけどね」 それからしばらく有栖川とみーちゃんのじゃれあいを眺めていた。みーちゃんも嫌がる様子はないので、まあ、そのままにしておいてやるか。 ちらりと寺崎の方を見ると、やつはまだ気絶していた。そんなに効いたのか、俺のガゼルパンチは。 「さてと……」 有栖川はみーちゃんを地面に下ろして、立ち上がった。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加