章間(2) 死刑囚、佐伯 雅孝

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1週間のしないうちに 実家に警察が訪ねてきました。 私は、暗い土蔵の地下室で息を殺し ただ、警察が帰るのを待っていました。 でも、実家に長い期間居るわけにはいきません。 もう、警察が来てしまったのですから。 どうしようか、考えているうちに 思い出しました。 あの町に、母の実家の関係している 工場があることを当時でも、 ほぼ倉庫になっていて人の出入りもさほどなく 近くが霊園と言うこともあり 人目に付きにくい、好都合の場所でした。 住み込みの管理人として名を隠し変装もして 過ごしていました。 時折、雅孝の姿でも出歩きました。 目撃され、まだここに居るかのように ふるまいました。 買い物などは、杏奈の姿で、していました。 最初の事件から10年・・・ 両親に呼び出されました。 度重なる、警察の訪問に疲れが出たのでしょう。やつれた顔の両親に説得されます。 出頭しようと私はその時、一度は了承しました。
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