序章

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「…なぁ バァさんは いいのか?」 これも 何度も 繰り返してきた質問 「…大丈夫 じいちゃんも居るし」 確かに 大家の老夫婦は 健在だが ジィさんは 数年 寝たきり その介護と 大家としての仕事は バァさんが 1人で 切り盛りしてる まぁ バァさんに 手に負えない物は 依頼として 俺に回されてくるから 持ちつ持たれつな 関係でも あるんだが 菫も そんな バァさんの負担を 軽くしようとしているようだ 弁当も 食い終わり 「さぁ じゃあ 俺は バイトに行くから 菫 帰れ」 食い終わった弁当の空を テキパキと 片付ける菫 「あっ……うん わかった…」 毎日 ここだけは 歯切れが悪くなる菫 「……また 明日 来て良いから」 少し しょぼくれた菫の姿を 見ると つい そう言ってしまう 毎朝 それで 後悔するのだが 「解った またね 洋貴」 げんきんなモノだ 勢い良く 立ち上がると 駆け出し 出て行く 菫には きっと 『必要だから明日来い』 って 脳内変換されてるはずだ バイトの用意を素早く済ませ 部屋を出る 夜間警備のバイトだ 帰ってくるのは 夜中の三時過ぎ ダルいが 行くしかない…
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