第5章

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エレベーターはもちろん付いている。 でも、階段を使う。 ボロアパートだった頃、鉄階段を響かせていたのを、ふと思い出す。 マンションは、コンクリート製…あそこまで鳴り響かない。 2階に着く、探偵社の名前の入ったドアの前に立ち 一度、大きく深呼吸して、息を整える。 ノブを回しドアを開ける、あの頃のように、ドアにぶつかる事はない。 鍵がかかっていないのだから、鍵だって持ってる。 急がなくていいから… 中に入ると、何人かは、このマンションに住んでる人も居るから、 見慣れた光景ではある。 少し大きく息を吸ってから 「おはようございます。本日から改めてよろしくお願いします。」 何故改めてなのかって言うと、 高校、大学、ずっとここでバイトしていたから、 調査員の方々は、口々に挨拶を返してくれ、また自分の仕事に目を向ける。 少し、奥まった所にある机の前に向かう。 そこには、机を背にして、椅子に座り資料を読んでる女性が居る。
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