第5章

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つまり、こちらを見ていない。 「おはようございます。副代表」 その私の声に、椅子を回転させ、こちらを向く女性。 「おはよう、菫ちゃん、副代表だなんて他人行儀な、 いつものように呼んでくれていいのに、 なんなら、みぃちゃんでもいいわよ? ああ、そっか今日からだったね、スーツとっても似合ってるわよ。」 この女性(ひと)は、この探偵社の副代表にしてトップ調査員の 下柳 雅(しもやなぎ みやび)、旧姓、咲良(さくら) そう、あの刑事さんだった、雅さん。 部下だった、下柳さんと結婚したんですよ。 経緯は知りません。 何故、警部補だった雅さんが、ここで調査員になっているのか? あの事件から2年後、佐伯 雅孝(さえき まさたか)事、佐伯 杏奈(さえき あんな)さんの刑の確定と執行が行われ、もう警官を続ける義務みたいのを 失ったわ、と辞表提出 そして、ここに来て、私も探偵するわ、と今に至ります。 旦那さんの下柳さんも後を追うように、警察を辞め、 ここで調査員の一人として、働いています。
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