第5章

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目指すは、同じ2階にある、唯一の居住部屋。 近付くにつれ、歩くのが早くなってるのは、自分でも気付いてる。 他のドアは、まだまだ新しのに、その部屋のドアだけは古びている。 そこの部屋主が、どうしても、このドアじゃないとダメなんだと、 言い張った、角に当たっても、怪我しないように、ゴム板が貼られたドア ドアの前に立つ あの頃、毎朝、私が…ううん…僕が、叩いていたドア。 今は、そっと撫でる、このドアの合鍵は、まだ返していない。 鍵穴に差し込み、そっと回す。 『ガチャッ』鍵が開く、ノブを回し、そっとドアを開ける。 ドアチェーンは無い。 中に入る、静かに奥に向かう、パイプベッドの上、 無精髭に白いのが混ざり始め 伸びた髪にも白髪が混ざっている、それを無造作に束ね。 少しお酒臭い息を吐きながら 薄汚れた布団を抱きしめるように寝ている、 さえないおじさん… パイプベッドの横の床に座り、目線を合わせる。
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