第1章

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鍵なんか 渡してたら 俺の貴重な睡眠時間は 確実に 蝕まれる 「お~ 合い鍵だぁ」 目の前にぶら下げながら 嬉しそうな目で しげしげと 合い鍵を見つめている 菫 「次に来たときに ちゃんと 返せよ それと 複製を作るのも 禁止だ 無くすなよ」 ここは 釘を刺しておく 大事そうに 合い鍵を 握りしめ 「了解ぃ~! 洋貴じゃ無いんだから そんなドジは しないよ?」 敬礼の真似をして 頭に手をかざす そして 一言 多い いつもの 菫だ 「じゃっ 頼んだぞ」 そう 短く言い残し 部屋を出る さぁ まずは 聞き込みだ… の前に バイト先に電話 2、3日 休む旨を 伝える 少し苦言を 言われたが まぁ 仕方ない こっちが本職… 最初の行き先は…… 重厚感を醸し出してる 安物のドアを 押し開く 「あ~ら いらっしゃい 久しぶりね 洋貴ちゃん」 妙に しわがれた声で おネェ言葉 出来れば 立ち寄りたくない場所 まっ しかし この街の 裏事情は その声の主に 聞くのが 一番 手っ取り早い 「よっ ママ…… 久しぶり」 やはり 顔を見ると 言いよどんでしまう
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