第1章

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「あぁ そうだが 今回は 本当にねぐらを 知りたいだけだ」 たかこママに 嘘や建て前は 通じない もう 15年来の知り合いだから 「あ~ でも あたしも はっきりした 場所は 知らないわ ……河原のゲンさんなら 知ってると 思うわよ」 河原のゲンさんか… 「ママ 助かった ありがとうよ」 懐から 五千円札を 取り出すと 写真と 入れ替えるように 置く その五千円札を 何も言わずに 取る たかこママ 「……お釣りと領収書を くれ」 ボソッと 言う 「んっもう ケチくさいわねぇ」 と 言いつつも ちゃんと お釣りと領収書を くれる たかこママ 「じゃ 本当に 助かった ありがとう ……ママ」 軽く頭を 下げる もう 客じゃないとばかりに 手先を はらうように振って 「今度は 仕事抜きで 朝まで飲みに来なさいよ」 そんな事は あと 十数年は 無いだろう 「あぁ わかった また今度」 軽く手を上げて 店を出る
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