第2章

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見慣れたボロアパートの 見慣れたドアの前に 立つ 時刻は 22時を 少し 過ぎた頃 せっかく 買ったビールも 無駄になってしまった… 部屋の鍵穴に 鍵を 差し込み 回す ……あれ? かかってない? ちっ 菫の奴 鍵をかけ忘れやがったな…… ドアを開け 中に入る 当然 灯りは点いていない そのまま テーブルの上に コンビニ袋に 入ったままの 二本のビールを 置く 椅子に座り テーブルに肘をつき そのまま 頭を抱えるように掴む 「……っくしょう… やっぱり… あいつなのか?…」 意識していないのに どす黒い怒りが 体を震わせる 『ガタッ』 小さい 物音がする 『…!』 思わず 物音の方に向かい 身構える 「……う~ん……ひ…ろ……き…」 ん? 今 俺 呼ばれたか? 暗い中 ベッドに近付くと 窓から差し込む 外明かりに照らされて 小さな人影が 浮かび上がる ……菫? もう 少し 近付き 顔を覗き込む まだ 幼さたっぷりだが 目鼻立ちが 整った顔 間違いなく 菫だ
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