序章

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「ぼっ……僕は、女だぁ!!!」 菫の腰の入った拳が 俺の腹に 突き刺さる 「げふっ…… おっおまっ グーパンチは ぐっ…やっ止めろぉ…」 的確に 俺の鳩尾をとらえられ 思わず しゃがみ込んでしまう 二日酔いの為に 吐き気さえ 「ふんっ 洋貴が 悪いんだ…」 腕を組み 背中を見せる菫 ふと 顔だけ上げると 白地にクマのプリントが 目に入る 「……クマさんパンツか……」と 俺が呟くと 聞こえてしまったのか 慌てて お尻を押さえる菫 そして こちらを向くと 「ばっバカァ!!」 の声と同時に 視界いっぱい 菫の足の裏になる 『ガッ!』 そんな衝撃と共に 熱くなるような痛みが 鼻に走る そのまま 後ろに倒れ込む さらに 俺の股間や腹を 2、3度 蹴り 肩を怒らせたまま 菫は 足早に 立ち去った 「ううっ…痛てぇ……ちったぁ 加減しろって」 菫が 立ち去った その空間に 1人 呟く ようやく 体を起こすと かなり 向こうを歩く 菫が 見える 「菫 気をつけてな…」 絶対に 届かない小さな声で 呟く と 同時に 遠くの菫が 振り向いて 手を振る そして、また 振り戻り 歩き始めた
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