あの日

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「どうだ?これが俺の味わった地獄だ!!だがその地獄も今日で終わりだ。全てをなかった事に。そうリセットするのだ。俺の死をもってな!」 振り返り女を見る。いない、俺の地獄を聞いてさすがにいたたまれなくなり、屋上から消えたのだろう。 邪魔者はいなくなった。 「さらばあの日!」 一声さけぶと、躊躇いなく飛んだ!! これでやっと俺は地獄から解放されたのだ。 粉々になった俺の体から、俺が浮き上がる。魂?これは俺の魂なのだろうか。 どんどんと浮遊していく。俺のバラバラの体がどんどんと遠くなっていく。 やがてビルの屋上が見えた。あれ?さっきの女が地面に横たわっている。横になっていたので俺の視界に入らなかったのだ。 なにしてんだ。あの女。あの日だったりして? 目をこらすと彼女が僅かに震えているのに気づく。 なんという事だ。あの女、笑っていやがる! 俺の地獄を笑いやがった!くそあの女、殺してやれば良かった。一つ後悔を残してしまった。 まあいい、どうせ今日で何もかも終わりなのだ。 そして、俺の魂は天に召された。
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