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ー(1)ー 『きーちゃんはかくしているだけなのよ』
俺は貴子に言われた言葉を思い出していた。
明日俺は貴子と結婚する。 初めて逢った時に俺がみた『永遠』を俺は現在(いま)感じることができる。 どんなに時がたってもあの時の気持ちはあの時のまま淡い傷となっている。すこしはおとなになったと思うんだけど―
あれは俺が医学部4年の冬。もうすぐクリスマスって頃、
俺は天使と出逢ったんだ。
たしかにアイツの背中には天使の羽がはえていた。 アイツは俺を馬鹿にしたようにみてた。
「なにしてんのよ!早くしてよ」
診察に手まどっている俺に、貴子はいつもの通り言う。「うるせぇな、ちったぁ静かにしろよ…ったく いつもいつも」
俺もいつもの通り言う。 「もう診察の時間は終わりましたっ!どいてよ、私することあるんだから!」
そう言って貴子は俺をおして病室から出ていった。
「貴子!」
俺は叫んだけど、貴子のアッカンベーに溜息をついた。
無茶する奴だから心配なんだ。でも、ほんとうはこわくて辛いって俺は分かるから、支えてあげなければいけなかった。
…遠くからだったけど…
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