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 俺は、意識を後ろに向けた。すると、ゆっくりと体が倒れていった。 そこで、足に力を込め、床を蹴る。体が重力から解き放たれた。そのまま、体を後ろに倒し、腰を軸にして、回転する。俺の目に、家のボロい天井が映る。続けて、逆さまになった冷蔵庫が映った。最後に、汚い、板張りの床が見え、体がもとの態勢に戻ってゆく。 ――出来た。バック転出来た。すげえ。  幼稚な感想がとめどなくに出てくる。 ――マジかよ。今なら何でも出来るんじゃね。じゃあ、次さあ、空中で体グルグルさせてみようぜ、オリンピックでそんな競技あるじゃん。  早速、体をグルグルと回転させてみた。前転、後転、続けざまに側転。宙で体を床に水平に保ち、切りもみ回転。極めつけに、そのままの状態から家中を縦横無尽に飛び周り、両手をvの字に挙げて、着地――フィニッシュ。
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