浮遊空間

１

　――そうだ。家の外に出てみよう。

　俺の目に、外の世界へ続く玄関の扉が映る。はたして、どうしたものだろう。家から出て大丈夫なのか。家の外はどうなっているのか。だいいち、家の扉は開くのだろうか……。好奇心と恐怖心がごちゃ混ぜになった気分が俺を襲った。気分が高揚し、だが同時に、冷たい鋭利なモノが心の表面をなぞる。――乗るか、反るか。たっぷり時間をかけて考え込んだ。

――好奇心には勝てない。

結局、俺は外に出ることにした。玄関に向かう。ドアノブに手をかけた。そのまま、ひねる。

――ガチャ。

動いた。外に出れる！

――そう思った瞬間、世界が消えた。