第一章 都市伝説

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かつてK県の山中に清村という村があった。昭和初期、突然発狂した村長が実の娘を殺して自らも命を絶つという事件が起きた。それから清村は隣村と合併したが、突然村民全員が亡くなった。  それは、自殺をした村長の呪いだと言い伝えられた。誰もいなくなった村は、廃村となり地図や県の公式文書から消去された。 しかし、その廃村は悪霊の棲み家となって現在も存在し、そこを訪れた者は二度と戻ってこれない。村の入口に朽ちた赤い鳥居があり、その先に待っているのは村長の娘が訪れた者を冥土へ連れていくという都市伝説が今、日本中を話題にしていた。 「で、清村に行くと?」 うちわを扇ぎながらA美が言った。 「そっ!せっかくの夏休みなんだから肝試しと思ってみんなで行かない?」 C子は、両手でパンと叩くと満面の笑みで言った。C子は、ホラー系が好きでよく、ギターサークルの仲間に話をするのが日常で当たり前になっていた。今回は、今、一番メジャーな話題を持ち込んできた。 「面白そうじゃん。おれが車出しするから行こうぜ」 C子の話を聞いて行く気満々のB男が嬉そうな顔をした。ふたりは、特に好奇心があるので、止めても無駄だと思い、A美も一緒に行くことにした。
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