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「幸人…、ゆきとぉ…。」
母は足をふらつかせ一歩一歩ゆっくりと近づき俺のそばまで来ると、力いっぱいに抱きしめ、まるでその言葉しか知らないかのようにただただ名前だけを何度も呼びながら泣き崩れた。
いつの間にかやせ細ってしまった母の華奢なこの体のどこにこんな力がるのだろう。
こんなに母親に心配をかけ、自分ばかりが不幸のどん底にいるかのように、周りが見えず自分のことしか考えていないことに恥ずかしくなった。
目頭つうっと熱くなるのを感じた。
母の肩越しに春日先生が微笑みながら立っているのが見えた。
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