プロローグ

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夢を見た。 あのころの彼女の輝くような笑顔…。 目覚めの悪い俺、青木幸人(あおきゆきと)はいつもこの夢を見た時だけは不思議とすんなり起きることができた。 時計を見ると朝6時。朝の肌寒さを感じつつ、2度寝してしまうにも目覚めの良かった俺は少し早いが朝食を取ることにした。 いつもより早く起きれたため、通勤ラッシュのいつも自分が利用している電車より1本早い電車に乗ることができ、ぎゅうぎゅうに押しつぶされるいつもの電車と1本違うだけでこうも違うものなら毎朝頑張って少し早めに起きようかなどと考えていると後ろから自分を呼ぶ声に振り向いた。 「青木くーん!」 大きく手を振りながら駆け寄ってきたのは同僚の水野(みずの)だった。 「おお、水野。おはよう。」 そう声をかけると 「おはよう、青木君。珍しく早いのね。雪でも振るんじゃない?」 いつも遅刻ギリギリにしか出社しない俺が、自分と同じ時間帯にいることにおどろいているようだった。
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