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-10年前ー
「幸人君!また食事をとらずにそんなもの食べて!」
白い制服を身にまとった女性はここの病院の看護師で、栄養のバランスを考えて出される病院の食事を食べずに菓子パンやお菓子ばかりを食べる俺を困ったとばかりに持っていたパンを取り上げた。
「返せよ!何を食べようが俺の勝手だろ?!どうせ俺は…っ」
「あっ!幸人君っ!」
俺は取り上げられたパンを奪い返し、看護師がとめるのも聞かず病室を飛び出した。
当時俺は重い病気を患っていた。入院して間もないころで医者には手術をしないと助からないと告知されていた。
しかし、その手術も難しいもので、成功率がたったの30%しかないといわれていた。
まだ16歳の俺にはその現実を受け入れられないでいた。
『どうせ俺は…』死ぬんだ…その言葉すら言えないほど、自分は臆病なのか…。
どうして自分ばかりがこんな目に合わなければいけないのか。
高校2年生という、普通だったら友達とバカ言い合ったり、サッカー部でレギュラー取るために必死で練習していたりしているはずだった。
それなのに、突然病が自分を襲ったのだ。
成功するかどうかも分からないような手術をしないと助からないような病気に。
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