18人が本棚に入れています
本棚に追加
不幸のどん底に突き落とされた気分だった。
毎日夜眠るのが怖かった。
眠ってしまえばこのままもう朝を迎えることはないんじゃないか。
そんな恐怖に毎日おびえ、その恐怖を周りに当たり散らして紛らしていた。
そんな俺に看護師や医者は困り果てていた。
親は腫れ物に触るかのようにどこかおびえたように接してきて、息がつまりそうだった。
(…こんなところに居たって何の意味もない。)
俺は服に着替え、病院を抜け出した。
行くあてもなく、ただひたすら歩き続けていると真っ青な海が見えてきた。
俺は浜辺まで降り少し歩いていると、一人の少女が海を眺めながら立っていた。
俺は自分と同じくらいであろうその少女にくぎ付けになっていた。
白いワンピースにストールを羽織った少女は、肩に切りそろえられた髪が風でなびいていて、そう、まるで地上に舞い降りた天使のようだと思ったのだ。
その少女の近くに帽子が落ちており、それに気づくとそれを手に取り俺の元まで持ってきて「これ、あなたの?」と聞いてきた。
俺はそれまでの事がまるでスローモーションのように見えていた。
最初のコメントを投稿しよう!