出会い

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「……あ、いや、違う…けど。」 直ぐに反応できず、あわてて返事をしたためしどろもどろになってしまった。 お互いのものではなかったが一度手にしたてまえそのなまにしておくのは後ろめたく思い、俺達は近くのカフェに落とし物として預けてもらうことにした。 「ずっと海を眺めてたけど、何かあるの?」 店を出た後、俺は彼女の事が気になり気付いたらそう問いかけていた。 すると彼女は眼を細めてまるで昔を懐かしむかのように話し出した。 「子供の頃よくおじいちゃんにつれてきてもらってたの。 おじいちゃん海が大好きで、おじいちゃん子だった私はおじいちゃんと波打ち際でよく遊んでた。 だから海を見てるとその頃を思い出して心が暖まるんだ。」 なびく髪を手でおさえ海を眺めながら話す彼女の眼が何だか寂しそうに見えた。 しかし、そう見えたのも一瞬で俺の方振り替えると、にこりと微笑み今度は彼女が質問してきた。
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