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そうだ。恵美だって俺の病気のことを知ればきっと周りの人たちのように同情し、憐みの目で見てくるに違いない。
俺の周りにいた友達や部活仲間は初めのころはよくお見舞いに来ていた。
しかし、言葉を選びながら自分の病気のことに触れないように気を使って接してくる友達を、俺は次第に遠ざけるようになった。
すると、誰一人見舞いになど来なくなった。
当然だろう。自分がそう仕向けたのだ。
しかも、そんなに気を使うような相手に面会拒否されているのをわざわざ会いにこようなんて奴はいないと思う。
「どうしたの?」
俺が急に黙り込んだからだろう。
恵美は俺の顔を不思議そうに覗き込んできた。
「あ、いや、なんでもないよっ」
恵美の顔が急にドアップで自分の目の前に映ったので、慌てて身を引きこう続けた。
「ってゆーか、いきなり目の前に顔寄せられたらびっくりするだろ?!」
「えー?何?照れてるの?キスでもされると思った?」
「ばっ…!んなわけないだろ?!」
顔中に血液がめぐるのを感じ、おそらく真っ赤であろう顔を隠すように逸らした。
しかし耳まで真っ赤だったのだろう。
後ろからくすくすと笑い声が聞こえてきた。
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