プロローグ

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 長野県の街中にある、お洒落なBAR。  その名も“seven-night”  私、なおとこの店の名探偵“七夜ん”のバイト先である。  元々、店長が七夜んの事をエラく気に入ってたもんだから、七夜んを英訳して店名をsevennight(七つの夜)に変えたそうだ。  この店には、本当に様々な客が訪れる。  熱愛中のカップルや、上司の愚痴をはきに来たサラリーマン、失恋でやけ酒をあおりに来た人等。実に様々だ。  私と七夜んは、マスターが不在の時は、マスターに変わってお客の話や愚痴を聞く事がある。  私と七夜んの前で、おのろけをぶちかますカップルは頂けないが、大抵、上司の愚痴や別れた異性の話は聞いていて飽きない。  こないだの夜もマスターは不在だった。私と七夜んは、その日、遠路はるばる長野県のこの店を選び足を運んで来てくれた珍しいお客の話を聞く事になる。  そのお客が、たこ刺をつまみにチョイスした瞬間、七夜んはキラリと目を光らせてこう言い放った。  「あんた……愛知県出身だね?」
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