ありふれた毎日、幸せな日々

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キーンコーンカーンコーン 小さな街にある、自然に囲まれた小さな高校に1日の始まりを知らせるチャイムが鳴り響く。 米崎武人はその頃…。 「…ハァ…ハァ…ったく冗談じゃねーよ!なんで走ってんだ俺は!」 走っていた。校門から校舎へと続く道だ。共に教室と言う名のゴールを目指す2人の少年と共に。 「いやー時間っつーもんはあっという間だな!楽しいことをしているとまさに“セツナ”って感じだな!」 一緒に走っている少年のひとりが笑いながら武人へ言う。この猛ダッシュの中でも彼は息を切らしていなかった。 「ふざけんな!てめーがエロ本読み出したのがいけねーんだろ!アイス買いにコンビニ寄っただけなのによ!」 ダッシュの中、武人が汗を拭いながら少年に向け強く言い放った。すると、その少年はスンマセーンとふざけたように返す。 「おい!2人ともはえーよ!俺だけ遅刻しちまうよ!」 武人と少年の後ろから声が聞こえる。先程まで一緒に走っていた少年だ。彼は待ってくれよと言わんばかりに前方を走っている2人へと手を差し伸べた。 それにしてもこの少年、脚が遅すぎる。遅刻しそうな他の学生…それも女子高生にすら抜かれるほどだった。 後ろから聞こえる声に対し、武人達は振り向いたかと思うとすぐさまくるっと顔を前へ向け校舎へと入っていった。 「…ほんと龍真の足っておせーよな。」 武人と一緒に走っている少年がボソッと呟いた。 「ああ。…だけどおめーみたいに早すぎるのもどうかと思うけどな。隆人。」 「よし!もうすぐ階段だぜ!!遅刻するかしないかはこの階段で決まるぜ!ここで勝負をつけてやる!コーナーを攻めろ武人ォ!!!」 隆人呼ばれる少年はそう叫び出すととんでもない加速をして他の走っている学生をごぼう抜きしながら階段へと駆け抜けていった。
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