ありふれた毎日、幸せな日々

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キーンコーンカーンコーン 午後4時半。ホームルームの終了の合図が校内に鳴り響く。そのチャイムは、多くの学生達を授業という名の縛りから解放する。 チャイムが鳴った後の校内は賑やかだ。放課後の楽しみ方も人それぞれである。これから遊びに行く者、部活へ行く者、学校に残り自習をする者、彼氏彼女と一緒に帰る者ーー 「じゃあな米崎!今日は彼女さんと一緒じゃねーのか?」 「ああ、残念ながら今日はヤロー共と帰るんだ」 米崎武人の教室、2年5組の前で武人はクラスメイト達と別れた。 今日も何も変わらない1日であった。授業があって弁当を食べてまた授業。そんな変わらない日常でも武人は満足していた。 彼は、自分の置かれている環境を幸福に思っていた。かけがえのない友達がいて、自分を異性として愛してくれる彼女もいる。そういった幸せを常に噛み締めて生きる男である。 こんな日々がずっと続いて欲しい。 彼はいつもそう思っていた。 そんなことを考えながら、部活に向かうサッカー部や階段ダッシュをする陸上部の学生達とすれ違いつつも彼は校舎を出る。 「おせーぞ!まーた彼女とイチャコラしてきたのか!?」 校門の前に2人の少年がいた。それは、今朝共に学校を目指して駆け抜けた仲間であり、親友。隆人と龍次であった。 「またってなんだよ。イチャコラする時くらいちゃんとわきまえるわ。」 急ぐ様子もなく、武人は彼らの方へトコトコと歩いていく。隆人は武人の正直な返答に対し、妬みからなんなのかわからないが声を荒らげてやかましいわと叫んだ。 「でも羨ましいぜ。お前にあんな可愛い彼女がいるんだもんな。」 龍真が口をへの字に曲げながらそうボヤいたあと、はあとため息をついた。 「んまあこれも日頃の行いのお陰だわな!」 と、誇らしげに腕を組みながらえっへんと言わんばかりに武人が言う。 「お前に日頃の行いの報いがくるっつーなら、カミナリでも落ちるだろ。」 「隆人、それウケ狙ってんの?あんま面白くねえよ。」 「うるせー!さっさと行くぞ!」 特にこれからどこへ行くわけでもないというのに、彼らはこれからどこかへ遊びにいく学生たちにも負けないくらいにがやがやと騒ぎながら学校を去っていった。 何故なら、この時が彼らにとっての至福の時であるから。
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