ありふれた毎日、幸せな日々

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辺りは大分暗くなってきており、夕陽が小さな街に差し込む。5月の半ばの夕方は、心地よい気温で、まだ長袖のワイシャツに吹き抜ける風は心地良かった。 彼らは学校から自転車ですぐの公園にいた。滑り台や鉄棒、ブランコ、シーソーといった遊具が設置されたどこにでもありそうな小さな公園。開原南の学生達にとってここは一種の溜まり場であり、また憩いの場としても馴染みのある場所であった。 学校帰りのカップルや、買い物帰りの主婦、ボールで遊んでいる小学生ーー各々の時間を過ごす人々の中に彼らもいた。 「やっぱ夕陽を見ながら食うアイスはサイコーだな。」 近くの駄菓子屋で買ったチョコレートの棒アイスを齧りながら、ベンチに足組みをして座っている隆人は至福の笑みを浮かべていた。 「だな。」 龍真も同じようにオレンジ味の棒アイスを食べながら呟く。 この公園の近くには商店街があり、彼らはそこでアイスを買ってからこの公園で食べるというのが日課になっていた。 特に何をするわけでもなく、ただその日の出来事をお互い話し合い、ただ笑いあっていた。 沈みゆく夕陽を見つめながらそれぞれがボーッとしている中、武人が口を開く。 「あ、明日記念日だ。」 「おう、おめでとな。」 「サンキュ。」 龍真の素直な祝いの言葉に武人はニコッと微笑んで返す。そこに隆人が口を挟んだ。 「なんか買ってやろうか。」 「マジで!」 「おう。ゴムでも買ってやるよ。」 「あ、足りてるわ。」 ちゃかすような言葉に対して、武人は「いつでも自分は用意周到です」と言わんばかりの表情でサラッと返した。その返しにハラを立て、うぜえと呟く隆人。そしてそれを見て笑う龍真。3人の会話はいつでもこんな感じだった。 「何ヶ月だっけ?」 「えっと、もう8ヶ月になるかな。」 我に返った隆人が聞くと、武人は指を折りながら今まで彼女と過ごした月を数えて答えた。 「ほ、ほー。結構長いのな。」 隆人は自分が思っていたよりも武人達が続いていた事に少し驚いて焦りを隠しながらそう言い、龍真は素直に2人に長続きしてほしいと思っていた。 「隆人、俺らも頑張んなきゃな!」 ポンッと龍真が隆人の背中を叩くと、隆人はうるせーよと言いつつも焦りを隠せなかった。そんな2人を見て、武人は笑っていた。 「…記念日、か。」
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