虹の麓

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虹の麓

   虹の麓(ふもと)にはいったい何があるのだろう。そう考えるようになったのはまだ幼い時で、落書き帳に虹を渡る自分達の姿を描いたりもした。だけど虹の麓には何も無いと知ったのもまた、幼い時だった。  虹は懸け橋じゃない。空に円を描き、大地に着く前に消えてしまう。  そして、飛ぶ事の出来ない私はいつの間にか、虹を渡る夢を見なくなっていた。  手の届かない場所には、伸ばさない。それが上手い生き方なんだと、そう思わざるを得ない世界なんだと。知りたくなんて無かった事を、この世界は得意げに、耳元で囁きかけてくるのだ。  虹の麓を追いかけて、変わりに見たのは、そういう現実。
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