c o l o u r .

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きみの腕に抱かれた夜を思い出している 今日は月が 理不尽に切り取られ くろねこが 嘔吐した 右手のダイヤモンド クリスタルカラ- 左足の不可侵、バラ 私たちが棄て去った後にしか 咲くことのできない花があったのだ 私たちが 離れることに その瞬間は意味など無かったはずなのに 目まぐるしく 季節を経て 鮮やかな意味が降り注ぐ なんと名付けようか 名前など、持たず 美しさは、 ただ 君のその 青い血の流れる右手こそに溢れた 殴り壊した指環 殴り書いた夢への道程 殴り抉じ開けた、新しい世界 私たちはまた出逢うのか 狂気を左肩に咲かせ 私たちはまた抱き合うのか 緩やかな自由を右肩に携えて 私たちはまた 手を繋ぐのか 心の記憶とは 違う景色の中 私たちはまた 始められるのだろうか 激情と、 嫉妬の色と 理不尽さと 曖昧な明度と 音楽と、 夢の色と、 かつての照明温度と 現実と 波間に揺れる声 海より深い群青 雲間に憂う吐息 空より遠い星の様な 大地を這う 慕情 土より遥か、最果て なぜなんだろう きみの その手が美しくて 美しくて 涙する 今夜の音色に 眠れやしないんだ
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